「大地の芸術祭@越後妻有」に行ってきた。瀬戸芸との違い

先日、新潟の越後妻有 (エチゴツマリ) で開催されている大地の芸術祭に行ってきました。今回は3日間の旅でした。1日がオフィシャルツアーに参加し、残り2日は車を借りて作品を巡りました。

巡った作品

クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマンの「最後の教室」を最初に訪れました。瀬戸芸 (瀬戸内国際芸術祭) が開かれている豊島には彼の作品「心臓音のアーカイブ」があり、この「最後の教室」にも似た展示がありました。最初からテンションを上げてくれます。

クリスチャン・ボルタンスキーの遺作となってしまった、「森の精」。

ほくほく線美佐島駅でのパノラマティクス/齋藤精一「JIKU #013 HOKUHOKU-LINE」。光の作品だと思っていたら、想像以上に音が大きくてびっくりしました。

栗真由美「ビルズクラウド」。別の作品見る途中にたまたま寄ってみた作品ですが、アタリでした。

アントニー・ゴームリー「もうひとつの特異点」。これも面白い作品でした。

瀬戸芸に比べ、建築をウリにした作品は少なかったですが、これは凄いと思ったのが、「越後妻有里山現代美術館 MonET」。中央に浅いプールがあります。

美術館の作品で、名和晃平「Force」。言葉にすれば、天井からシリコンオイルが落ち続ける作品、ですが、これの面白さは見ないと分からない。

これも美術館内の作品、クワクボリョウタ「Lost#6」。プラレールにライトが備えれ、壁に映る通過場所の影が流れていく。車窓ではなく、影を追う作品。

大地の芸術祭と言えば!の清津峡。マ・ヤンソン/MADアーキテクツ「Tunnel of Light」。フォトジェニックな場所です。

瀬戸芸との違い

振り返ってみると、「暗いなぁ」というのが印象です。瀬戸芸に行ったのが夏で、今回は秋ということもありますが、雪は積もっていないものの、雪国の暗さを感じる展示が多いように感じます。ただ、作品の質は瀬戸芸と遜色ありませんでした。瀬戸芸を楽しめる人は、十分満喫できるでしょう。

作品巡りの観点では、一長一短だと思います。決まったエリアを周るのは、瀬戸芸の方が楽かなと感じます。直島内であればレンタルバイクや自転車などを借りれば、移動はラクチンです。大地の芸術祭は、広範なエリアを自由に巡るには車は必須で、途中狭い山道もあるので、それなりに運転に自信がある人でないと辛いでしょう。一方で、瀬戸芸で大変なのは、当然、島と島と移動です。決まった時間でしか船便は動いていませんし、単純な距離以上の時間を消費します。

また、主要なテーマも異なるように感じました。

自然と風景、一見似ている言葉ですが、その違いは大きいです。「自然」は雪国の厳しさ、峡谷の厳かさを指す一方、「風景」は瀬戸内海の穏やかさ、光の暖かさを表します。

半分廃校巡り

大地の芸術祭に暗さを感じたのは、廃校巡りが多いことも理由の1つです。鑑賞していない作品も含めると、こんなにもあります!

  • 最後の教室→旧東川小学校
  • 絵本と木の実の美術館→真田小学校
  • 赤倉の学堂→旧赤倉小学校
  • 越後妻有清津倉庫美術館清津峡小学校
  • 明後日新聞社文化事業部→旧莇平小学校
  • 奴奈川キャンパス→奴奈川小学校
  • スノーフェンス→旧清水小学校
  • 越後妻有「上郷クローブ座」→上郷中学校
  • 記憶のプール→旧津南小学校大赤沢分校

人口減少・過疎化が進み、どんどん貧しくなる日本を見せつけられたようで、悲しい気持ちになりました。今はまだ小学校が廃校になった作品が主流ですが、今後は中学校→高校が増え、最終的には地方大学になるのでは、と想像しますします。(廃校となった大学を作品にする展示は、見てみたいという気持ちもありますが・・・)。

 

若干暗い気持ちになった、大地の芸術祭の備忘録でした。来年は能登で芸術祭があるそうです。計画立てるぞ!