"燕子花図屏風の茶会”@根津美術館に行ってきた

南青山の根津美術館で開催されている特別展"燕子花図屏風の茶会" に行ってきました。

5/15(日)まで開催しています。

 

 

 

19世紀後半から20世紀に活躍した実業家 根津嘉一郎が、昭和12年 (1937年) 5月に催した茶会で使用された芸術品を揃えた特別展です。茶会は1カ月程にわたって開かれ、財界・政界の有力者が各日6名ほど招かれました。

 

使用された茶器の美しさや、メインの燕子花図屏風の荘厳さは素晴らしかったです。私が展示で一番気に入ったのは、燕子花図屏風と対で置かれた藤花図屏風でした。燕子花図屏風は青と緑が鮮明で、よく言えば色鮮やかなのですか、私には派手過ぎると感じしました。一方で、藤花図屏風は色味も穏やかで、空間の使い方も上手かったです。作者は円山応挙です。

 

藤花図|根津美術館

 

今回の特別展を見て感じたことは、下記の3つです。

 

  • 茶会って、お茶飲むだけじゃない

茶会は、客が待ち合わせて身支度を整える待合から始まりますが、その次に懐石@本席があります。写真が取れなかったので品目は覚えていませんが、和食料理店で出るような懐石コースが出されていました。食材を盛る器は、もちろん蒐集家根津嘉一郎が集めた骨董品。中国の食器もありました。

懐石の後、メインの茶会が始まるわけですが、炭手前といって、主人が湯を沸かす準備をします。その際、主人と招待客は分かれており、炭手前が完了すると主人は銅鑼を鳴らします。「銅鑼って・・・」と私は驚きましたが、大きな音を鳴らすわけではなく、抑え目な音で非常にゆっくりなトンツー信号のように、長い音と短い音を繰り返しながら2分程度音を奏でます。

濃茶→薄茶の順に供され、お茶を楽しみます。濃茶は同じひとつの茶碗を客が順番に飲む一方、薄茶は客それぞれに茶碗が割り当てられるそうです。

お茶を楽しんだ後は、軽くお酒を飲む浅酌席で、ここで燕子花図屏風と藤花図を対に並べたのも、「この趣向はどうですか!!」と客に訴えかけたかったに違いありません。

 

  • 茶会って、アートが趣味の人たちのオフ会

上記の通り、茶会はただお茶を飲むだけでなく、食事や使用される器、掛けられる絵画も含めて楽しむ席です。その参加者も政財界の重鎮であり、一定の教養が求められます。そのため、根津嘉一郎としては、"違いのワカル"同じ趣味人に自身のコレクションを自慢するために設けたオフ会の一面はあったと思います。

一方で、私は違いがワカル人ではないので、かなり疲れそうと思いました。

 

  • 茶会って、今やればひとつのビジネスになるのでは?

茶会はかなり疲れそう、と上で述べましたが、一方でこのような芸術を楽しむ人は多くいます。特に、資産が潤沢にあって、リテラシーが高い人にその傾向が多いです。その人向けに、今でも茶会のビジネスチャンスがあるのでは?、と感じました。

根津美術館の裏手に庭園があり、当時の茶会が開かれた茶室が複数がありました。しかし、離れて見てもかなり寂れており、現在は使用されていない印象を受けました。これらを趣は残しつつ改築し、茶会を楽しみたい人を集客すると、かなり集まるのではないでしょうか。そこでは、当時の器や絵画を並べ、主人には茶道で有名な方に取り仕切ってもらえれば、需要はあると思います。

2対の屏風を並べる所までやれれば、1回の席で一人当たり数百万円ぐらい取れるのではないでしょうか? コロナが収まれば、中国の富裕層も期待できます。

 

【余談】

今回の特別展で印象深かった作品は藤花屏風ですが、他の展示も含めると双羊尊がダントツでした。紀元前13~11世紀に、こんな芸術があったとは驚きです。2000年前のポンペイ遺跡もその技術と文化が今とそう変わらず凄かったですが、それよりも更に1000年以上前に作製されたとは驚きです。

 

双羊尊|根津美術館