瀬戸内旅行記2022夏 直島編 「現代アートにあふれた島」

2時間弱の宇野港散策を終え、いよいよ直島入りです。夏休み中なので乗客は多かったです。ちなみに大人片道300円。安過ぎです。地元民は安くして、観光客向けには1,000円ぐらい取れば良いのに。

1日目: 宮ノ浦エリア & 本村エリア、と少しベネッセハウス周辺

直島宮浦港に到着すると、草間彌生さんの「赤かぼちゃ」がお出迎え。直島と言えばコレ!、ぐらい有名です。私と同様に写真を撮る人が大勢いて、インパクトある作品はやはり集客力が強いと実感。

宮浦港のフェリーターミナルも作品の1つだそうです。海の駅「なおしま」。風が通りやすく解放感があり、影の部分も広いので、炎天下よりかなり涼しかったです。

今回の直島は、ベネッセハウスに2泊します。1日目に直島全体を回り、2日目にベネッセハウス周辺を散策します。ターミナルに来たベネッセハウスのバスに、大きい荷物を預け、さっそく直島観光開始です。

直島全体を回るには移動手段が必要で、今回選択したのは電動バイクです。この選択は大正解だったのですが、それを入手するまでが時間かかりました。私は事前にバイクを予約していきましたが、予約なしで直島を訪れ、その場でバイクや自転車を借りようとする人もいました。予約をしたにもかかわらず、その人たちと同じ列に並ぶことになり、かなり待たされました。事前予約者を優先するという当たり前のことができていないのは、非常に残念でした。この辺りのオペレーション改善は強く希望します。

さて、ようやく入手した今回の相棒はこちら、YAMAHAのEC-03です。自転車ではなくこちらを選択して大正解でした。当日はかなりの猛暑で35℃を超えており、炎天下で自転車を漕ぐなど考えられません。風を切りながら走るとなかなか快適で、スピードはそもそも出せないので、特に安全性に不安もありませんでした。レンタル代も2,500円程度なので、かなりオススメです。

直島にはざっくり、ざっくり3つのエリアがあります。フェリーが到着した宮浦港がある①宮ノ浦エリア、家プロジェクトの作品が点在する②本村エリア、地中美術館がある③ベネッセハウス周辺。観光1日目は、①宮ノ浦エリア & ②本村エリアをサクッと回ります。

https://www.benesse-artsite.jp/access/naoshima/ から転載。

宮ノ浦エリアで最もインパクトがあったのは先述の「赤かぼちゃ」ですが、印象深かったのは「宮浦ギャラリー六区|瀬戸内「  」資料館」です。こじんまりした建物の窓ガラスにライターが飾られており、非常に美しいです。

内側から見た写真。

さて、この施設には資料館も併設されています。そこは写真撮影禁止だったのですが、直島を含めた瀬戸内の歴史や写真が狭いスペースに展示されていました。そこで驚いたのが、直島の昔の写真。白い土が完全に露出しており、まさにハゲ山でした。

下記の写真は、直島上陸前に宇野港から撮影した写真です。右手の島が直島です。事前準備で読んだ本に、「直島の北側はかつてハゲ山だったが改善された」という趣旨の記載がありました。いざ瀬戸内に来ると、今でも十分ハゲ山だと思いましたが、昔はもっとひどい状態だったということを知りました。

直島の北側には精錬所があり、その排出物により草木が枯れてしまったそうです。当時の写真を撮ったのは、その精錬所に勤める人たち。今でこそ、アートの島として賑わっていますが、当時はその精錬所が唯一産業だったのでしょう。島を存続させるためには産業が必要だが、島の草木は枯れてしまう。その矛盾を抱えつつ生きてきたのでしょう。本当のハゲ山だったころの写真は、直島の過去を知る上で重要な資料なので、直島を訪れた際はぜひ、立ち寄ることをオススメします。

 

本村エリアは、古民家をアートとして再建する「家プロジェクト」が点在するエリアです。そのうち「角屋」は、浅いプールを部屋に作り、水没させた7セグメントLEDの数字が切り替わっていきます。

入口とは反対側から撮った写真。数字が変わるだけなのに飽きないです。

本村エリアの中心地から少し離れたところにある「石橋」。アートな部分もありますが、庭ありのザ・古民家が保全されており、猛暑で火照った体を落ち着かせるのに、一役買ってくれました。

直島発展のキーパーソンの一人である建築家 安藤忠雄さんの「ANDO MUSEUM」もあります。地中美術館やベネッセハウスの設計途中のラフ画や建築途中の写真が展示されており、実際に訪れる前にワクワクさせてくれます。大阪にある「光の教会」にも行ってみたいです。

家プロジェクトの「南寺」にも行きたかったのですが、何と混雑時は朝10時からの整理券を入手しないといけないとのこと。私が訪れたのは午後で、既に全て配布済み・・・。同じ家プロジェクトの「ぎんざ」はWeb予約なのだから、「南寺」も予約できるようにして下さい!

 

バイク移動なので、アート作品が集中するエリア以外にも足を延ばすことができました。直島は学校もアートです。まずは直島中学校。奥の方は、最近のホテルのような出で立ちです。

こちらは隣接する直島小学校。アニメに出てくる基地の印象を持ちました。子供時代にこんな素晴らしい建築に毎日通っていると、都会の画一的な建築の学校に行ってみたら、どう感じるのでしょうか?

プラントが並ぶ北側にも行きました。アートではないけどカッコイイ。工業×アートも良いですね。工場の跡地が、新たな現代アートの場になる未来が見えました。

最後に宮浦港に戻って、レンタルバイクを返却。ベネッセハウスのバスを待っていたところ、宇野港に戻るフェリーに乗ろうとする人の長蛇の列がありました。ざっと見た限り200人はいたでしょう。荷物の量を見る限り、日帰りの人がほとんど。宇野港でも思いましたが、観光客にお金を落として貰わなかったら、地域は活性化しません。この人たちに宿泊してもらう仕組み作りが必要です。

ということで、私はお金を落とすためにベネッセハウスへ。小さめの部屋ですが、景観と少し歩けばアートに触れられる環境は、他のホテルでは味わえません。

 

ベネッセハウスでの小休憩もそこそこに、地中美術館へ向かいます。目的は、ナイトプログラムへの参加です。地中美術館の展示の1つである、ジェームズ・タレルの「オープン・スカイ」を日没の45分間楽しむというものです。写真は撮れなかったのですが、これは非常に面白い体験でした。入館料プラス1,000円での体験としては格安です。

benesse-artsite.jp

「オープン・スカイ」は、部屋の天井に四角い穴があけられ、空を直接見ることのできる作品です。鑑賞者は部屋の壁伝いに設置されているベンチに腰掛け、空の移ろいを眺めることができます。私が最初に思ったのは、「天井に見えるあの空は本物なの?」でした。時々、枯葉が落ちてくるので、単なる映像ではないということは分かるのですですが、どうも本物の空とは思えませんでした。結局、私の中では、本物の空だと結論づけたのですが、疑ってしまったのは、①部屋に設置された壁を照らすライトと、②空の一部しか切り取られないと雲の動きが把握できない、ことが理由でした。

①白壁と天井を照らすライトは、時間とともに色が少しずつ変わります。空と天井のコントラストが刻一刻と変わるため、徐々に暗くなっているはずなのに、空が明るくなったり色が変わったりしていると誤認してしまいます。

②広い空を見て、雲の全体像が把握できると、雲がどの方向に流れているかを認識できます。しかし、切り取られた枠の中でしか雲を見ることができないと、雲がどちらの方向に動いているかすら怪しくなります。

①②が混ざることで、おかしな変化をする空と雲が見え、本物かを疑ってしまうことにつながりました。天井の一部を開き、壁をライトで照らすという非常に簡単な仕組みにもかかわらず、人の認識をズラす仕組みは非常に面白かったです。

ナイトプログラムを堪能した後は、ホテルに戻り夕食を食べて就寝しました。宇野港 & 直島を盛りだくさんで堪能した1日目は、ようやくここで終了です。

2日目: ベネッセハウス周辺

2日目はベネッセハウス周辺を散策する軽めの旅程です。まずは、前日ナイトプログラムで訪れた地中美術館を訪れます。ここの面白いところは、チケットセンターと美術館が徒歩数分の距離で離れている点です。

その理由は、美術館に向かう途中の道にあります。

左側の歩道を進むと、睡蓮のある池が!これから見ることになる、モネの「睡蓮」を具現化しているのです。こだわりが凄いです。

地中美術館の入口です。入口だけで、安藤忠雄さんの建築であることがビシビシ伝わってきます。

この階段も印象的。

中の展示も物凄く印象的だったのですが、残念ながら写真撮影禁止でした。地中美術館には、たった3人の作品しかありません (安藤忠雄さんを含めると4人)。

他の2つが現代アートに対し、モネは印象派の巨匠。これまで島で見てきた作品とはやはり時代の違いを感じます。

  • ウォルター・デ・マリア「タイム/タイムレス/ノー・タイム」

ザ・スピリチュアルという展示でした。これから宗教的な儀式が始まるかと思うくらい、荘厳な空間でした。

  • ジェームズ・タレル「アフラム、ペール・ブルー」「オープン・フィールド」「オープン・スカイ」

「オープン・フィールド」も違った意味でスピリチュアルな作品でした。デ・マリアの作品が荘厳さを表し、「オープン・フィールド」は幻惑さを表現していました。作品のある部屋に案内された訪問者は、薄暗い部屋の中にある数段の階段を昇り、実体のつかめない空間に誘われます。

この体験を言葉にするのは難しすぎるので、是非足を運ぶことをオススメします。

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その後もベネッセハウス周辺を散策し、色々な作品を見て回りました。隠れたところにあるウォルター・デ・マリアの「見えて/見えず 知って/知れず」

海沿いにベンチがあり、小休止もできます。

ニキ・ド・サンファール「腰掛」

ベネッセハウスには昼過ぎに一度戻り、昨日までで疲れた体を、冷房の効いた部屋で休ませます。そして、夕食前にベネッセハウスミュージアムに移動します。

瀬戸内の夕日もきれいです。下の方の黒い部分に杉本博司「タイム・エクスポーズド」が展示されています。個人的に、杉本博司さんと言えば、ロックバンドU2の「No Line On The Horizon」のアルバムジャケットを思い出します。

ブルース・ナウマン「100生きて死ね」は全て文字が光っていますが、実際の展示は1つずつ点滅し、5分中10秒程だけ全ての文字が光ります。

個人的に印象的だったのは下記の言葉。

その後、夕食を食べ、早々に就寝しました。

3日目: 豊島 (てしま) へ移動

直島最終日は、朝食食べたらすぐに移動です。パンが美味しかったです。

チェックアウト後に、ベネッセハウスのバスで宮浦港に向かいます。

 

非常に長くなってしまいましたが、ここまで読んで下さり、ありがとうございました。次は豊島 (てしま) 編です。