運転免許取得数の今後

最近、新たな免許を取得するために教習所へ行ったところ、ずいぶんと賑わっていました。私が普通運転免許を取得したのは10年以上前。当時から車離れが叫ばれ、近年ではコロナ感染による自粛で閑散としていると思いきや、全くそんなことはなかったです。教習の予約も、1カ月後からようやく抑えられる状況で、思いの外活況であることを気づかされました。

 

事務の方に聞いてみると、「コロナ拡大で時間ができたため、逆に賑わっている」とのことでした。車の売れ行きは落ちていますが、マイナンバーカードの普及がなかなか進まない昨今において、免許証は身分証明書としての位置づけを確固たる地位を築いています。車は乗らないが免許証は持っているという人も増えているように感じます。

 

そこで、免許証の取得者だったり、新規の発行数が気になり、調べてみました。警察庁のページを基にしています。

 

運転免許統計|警察庁Webサイト

 

まず驚いたのが、免許の取得者数です。何人だと思いますか?

 

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2020年において、81,989,887人!! 2020年の国勢調査において、日本の人口が1億2622万7千人でしたので、65%の人が免許証を取得していることになります。普通免許を取得できる18歳以上に絞るともっと高くなります。

 

2005年頃から飽和し、近年では若干下がり始めていますが、それでも高い数値です。下がり始めている理由ですが、下記の2つが考えらます。

  1. 新規保有者の減少
  2. 失効者の増加

まず、新規の保有者を見てみましょう。下記は、2001年以降の新規の交付件数の実績です。2001年から2008年までは右肩下がりでしたが、2008年以降は微減しながらも落ち着いています。2010年というのは、上のグラフで見た保有者数が飽和したタイミングと一致します。

 

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次は2001年以降の新規失効件数の推移です。2001~2003年の急激な落ち込み以後、少しずつ失効数が増えているようなグラフです。

 

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さて、気になるのは、2つの変曲点です。

  1. 2003年以降における新規失効件数が落ち着くタイミング
  2. 2008年以降における新規交付が落ち着くタイミング

1は、高齢者の分が失効というより、免許更新忘れて失効する人が減ったのでは無いかと考えています。ちょうど2001年に運転免許証 (青色) の有効期間が3→5年になっており、このタイミングと重なります。

 

2の2008年の変曲点は、母数の変化と考えています。上でも書いた通り、日本では18歳から普通運転免許が取得できます。2008年に変曲点があると場合、当時18歳の人は、1990年に生まれています。

内閣府の"出生数及び合同特殊出生率の年次推移"を見てみましょう。1990年ごろに出生数の変曲点があることに気づきませんか? 1990年以前は出生数の下がりの傾きが大きく、それ以降は出生数の減少が緩やかになっています。その頃生まれた子供は、2008年頃から免許を取得できる年齢になりました。すなわち、18歳になる若者の減少が緩やかになったタイミングが2008年ということです。そのため、2008年の免許新規交付数が緩やかになったと考えられます。

第1部 少子化対策の現状(第1章 2): 子ども・子育て本部 - 内閣府

 

さて、今後の話です。保有者数・新規交付数ともに増えることはありませんが、大幅な落ち込みもなく、続くのではな無いかと考えています。理由として、下記の2つがあります。

  • そもそもの母数がそれほど落ちていない
  • 免許証に行った時の肌感覚として、免許の取得率もそれほど落ちていない

 

2022年3月中には、2021年の免許交付のデータも出るでしょう。出たら、少し情報を追ってみます。

 

次は車の購入件数、新車・中古車の販売推移を見ることを考えています。