秋芳洞・景清洞@山口で自然の偉大さを感じた

久しぶりの制限なしのGW。今回は山陰地方を旅してきました。これからの数回は、その旅で感じたことを書きます。旅のルートは、山口宇部空港に降り立ってから、電車と車で山陰地方を西に進み、山口→島根→鳥取で、最後は鳥取空港から飛び立ちました。

 

今回の旅行で最も心が動いたのが、秋芳洞・景清洞でした。その魅力をお伝えします。洞という漢字からも分かる通り、どちらも山口県の中央部にあるカルスト台地が作った鍾乳洞です。地上には、日本最大級のカルスト台地秋吉台」が広がっています。

秋芳洞

秋芳洞を一言で表すと壮大!!

写真ではその素晴らしさを表現しきれないのが非常に残念ですが、自然が作り出した造形は本当に壮大でした。ドームと呼べるくらいの巨大な空間を自然が作り出したことは、本当に驚きです。

見た目はスペインのサグラダ・ファミリアにも似ています。天井から伸びる鍾乳石が2cm長くなるのに500年かかるらしく、人とは違う時間の流れの中で形成されてきたのだと、実感しました。

下の写真は千町田というポイントです。リムストーンプールと呼ばれるそうですが、小さな棚田のように水たまりが形成されています。光の加減と反射像から、私はこの水たまりを深い穴と思い込み、「こんな危ない場所なのに、歩道 (写真左側) に柵付けてないのは危なすぎでしょ!!」 と勘違いしてしまいました。

さて、秋芳洞には3つの入り口があります。

  • 正面口: 下流側に位置し、秋芳洞として頻繁に紹介されます
  • エレベーター口: 中腹に位置し、地上の秋吉台からエレベータで下降してから入れます
  • 黒谷口: 上流側に位置し、正面入口から入洞した場合の折り返し地点です

私は秋吉台を見てから入ったこともあり、エレベーター口から入場しました。これが正解!!開放的なカルスト台地を見て回った後、エレベーターに乗るとすぐに壮大な鍾乳洞の中に入れます。自然が作ったドームの広大さを瞬く間に感じ、思わず「おぉー!!」と叫びたくなります。地上と鍾乳洞の、急な転換がインパクトを残してくれました。

一方で、正面口は川の流れが激しく、その音は離れても聞こえます。入口に近づくにつれ徐々に音が大きくなり、少しずつ鍾乳洞に入って行くように感じ、インパクトが薄れてしまいます。また、黒谷口から入った場合は、鍾乳洞に入る前に壁のイラスト展示があり、自然を体感する観点では感動は小さいです。

ということで、秋芳洞を訪れる際は、ぜひエレベーター入口から!!

秋芳洞は観光地化された場所で、GW中ということもあり、観光客が多くいました。すれ違ったり、写真を撮るために立ち止まる際にも気を使いました。秋吉台を訪れる予定だけど、観光地が苦手な方は、平日や閑散期を狙った方が良いでしょう。

景清洞

観光客が少ない場所で自然を体感したい方には、景清洞がお勧めです。秋芳洞から車で北に15分ほどのところにあります。両者を移動する際は、秋吉台カルスト台地を突っ切ることになるので、それも楽しみの一つです。

景清洞を一言で表すとザ・冒険!!

景清洞は、一般観光コースと探検コースの2つに分かれます。一般観光コースは、特に装備も必要なく、舗装も明かりもしっかりしているために、鍾乳洞を軽い気持ちで見ることができます。ただ、秋芳洞に比べると小さめの鍾乳洞のため、一般観光コースだけで折り返すのは、その本質を味わうことはできません。

楽しいのは、続く探検コース。これは、貸し出しのヘルメット・懐中電灯・名が靴を装備し、全く灯りのない鍾乳洞を上流へ400m進むコースです。

たった400mですが、非常に濃密な時間を過ごしました。その理由は2つあります。

1つ目は、危険と隣り合わせである点。渓流を川上に向かうのをイメージされると良いと思います。さすがに滝はありませんが、水深が膝以上の場所もあり、岩肌は滑るので、ケガするリスクがあります。

2つ目は、完全な暗闇という点。唯一の灯りである懐中電灯を消したら、何も見えません。夜でも、星や街灯の光で本当の暗闇に触れる機会がない現代においては非常に貴重な体験でした。何度か観光客の方とすれ違いましたが、その数も限られているので、一人で入洞し灯りを消せば本当に一人っきりで暗黒に取り残されます。川の流れる音が聞こえるだけ。

危険と暗闇の2つが合わさり、景清洞での約1時間は、生きていることを実感できるひと時でした。日頃生きる上では、危険や暗闇を無意識のうちに避ける習慣が身についており、いざその場で孤立すると、自分というちっぽけな存在を感じました。それでも、何とか生き延びようとする (入口へ戻りたい) 執着があることも分かりました。

懐中電灯で照らしているから見えているだけです

Uターン地点。これを見つけた時の安堵感たるや!!

正直なところ、景清洞は万人受けする場所ではないと思います。汚れや暗闇が苦手な方は避けた方が良いでしょう。また、小学校に入っていないお子さんがいる方にとっても危険です。

ちょうど、知床観光船事故で自然観光の危険が話題になっていた時期もあり、「このアクティビティも子連れには危ないよなぁ」と感じました。ヘルメットを着けていましたが、「ツルっと滑って頭を打ち意識失ったら、助からないかもなぁ」と緊張しながら冒険していました。

もちろん入口には管理者がいますし、同じコースを選んだ人とも時々すれ違うため、実際のリスクはそれほど高くないと思います。また、私のように一人ではなく、複数人訪れたら安心でしょう。ちょっとしたスリルを楽しみたい!、という方はぜひ行ってください。